音楽劇「ライムライト」ドラマシティ公演

2022年10月15日

今日は「ライムライト」の大阪公演初日を観てきました。
チャップリンの名作を音楽劇にした作品で、出演者も芸達者ばかりの豪華なメンバーです。

私はチャップリンの「ライムライト」の映像は見たことがあって、ストーリーは把握してました。
決して派手な作品ではないですが、20世紀中期のロンドンを舞台に繰り広げられる滑稽さと悲しみが散りばめられた美しい世界観は好きですね。
あの独特の世界観を現代の人がどう表現するのか興味がありました。

作品の全体的な印象は、チャップリンの世界観を表現しようと制作側がすごく頑張ったんだなというのは感じました。
ただ、見終わった後に何か物足りなさが残ってしまいました。
チャップリンにしか出せない世界観を全部再現するなんて無理な話ですから、そんなことは求めていませんが、ん~、なんだろう、この物足りなさは。期待しすぎたのかな。

すいません、いきなり辛口で。

8人の俳優陣は、皆さんそれぞれに良い味出していたと思います。
主役のカルヴェロとヒロインのテリー以外のメンバーは、一人何役もこなしていて、衣装替えも上着を変えるだけとかの場合は、ほとんど舞台上でやっているし、役も舞台上でどんどん変わっていくので、油断していると「あの人は今、何の役をやってるの?」って混乱することも(笑)
メインストーリーを演じている横で他の出演者も舞台端で見ていて、出番になると動き出すというバックヤードを意識したような面白い演出もあって、先ほど書いたような物足りなさはあったものの、いろいろ見どころはあると思いますよ(^^)

年老いた芸人カルヴェロ役の石丸幹二さんは、チャップリンが演じたカルヴェロのイメージも残しつつ独自のカルヴェロ像を作り上げてらっしゃいました。客から飽きられてしまった芸人の葛藤、老いの悲しみ、テリーへの密かな思いがとても切ないです。

自殺未遂をしたバレリーナのテリー役、野々すみ花さんは悲しみに打ちひしがれた可憐な女の子が、カルヴェロとの出会いで芯の強い女性に成長していく様子をうまく表現していたと思います。
バレリーナの役ですからバレエを踊る場面もあり、きれいなダンスも見せてくれましたよ。

テリーに思いを寄せるピアニストのネヴィル役、良知真次さんはシャイで内気な青年の恋心をうまく表現していたように思います。キュンキュンしちゃいました(*^-^*)
歌がちょっと残念な感じだったかな。ポップスやロックを歌うならいいけど、クラシカルな音楽劇にはあの声質が合わないような気がしました。
他にもカルヴェロの舞台を観ている客や号外ニュースを読み上げる青年などいろいろ演じています。

吉野圭吾さんは、お情けでカルヴェロを雇っている劇場支配人がメインの役かな。コミカルに歌い踊ったり、時にカルヴェロを叱咤激励し、時にカルヴェロとしんみりと話したりと様々な表情をみせてくれます。

植本潤さんは、カルヴェロのマネージャーとエンパイア劇場のオカマ演出家をメインに演じています。
ちょこまかとよく動き回り、笑いを取るのがお上手ですね。
文句を言いながらも、カルヴェロのことを見捨てることができないマネージャーがとてもいい味出してました。

カルヴェロのアパートの管理人で元舞台女優のオルソップ夫人役の保坂知寿さん。
意地悪なのか、お節介なのか、親切なのか分からない感じがステキだし、かわいらしいです。
カルヴェロとの掛け合いも楽しく、テリーの正体を知る前と知った後の態度の違いも面白い。さすがですね~!
他にもチョイ役をいろいろと。

ダンサーズの佐藤洋介さんと舞城のどかさんは、息の合った美しいダンスを見せてくれます。
この二人はダンスで様々な事を表現するのがメインの役かな。
他にもチョイ役でお芝居にも参加しています。

作品全体では少々辛口評価となりましたが、チャップリンの「ライムライト」のイメージを大きく崩すようなこともなく、上品に仕上がっていると思います。