『シャーロック・ホームズ ~アンダーソン家の秘密~』名古屋公演

2022年10月18日

韓国発のミュージカル『シャーロックホームズ ~アンダーソン家の秘密~』を観てきました。
脚本は韓国の方が書かれたもので、日本ではこれが初演です。

開演5分前のお知らせ以降は、開演アナウンスもなく、いきなり始まります。
休憩時間とカーテンコールも含めて、約3時間15分くらいかな。

ストーリーは真相を知ったホームズの苦悩までしっかり描かれています。
日本にも通じるアジア人らしい視点で描かれたこの作品は、日本人にも馴染みやすいと思いますよ。

出演者9名、バックバンド5名と小規模ながら、出演者には芸達者が揃い、全員が主役と言ってもいいほど、皆さんそれぞれ個性が光っていつつ、しっかりまとまりのある素晴らしいカンパニーだと思いました。

この作品に出てくるのは、とても人間くさいホームズ、助手のワトソンはなんとチャーミングな女性です。

ホームズ役の橋本さとしさん、さすが存在感抜群!
とってもさとしさんらしい、おちゃめなホームズですね。
でも、ホームズのイメージはそれほど崩されないと思います。
だけど、話を聞く時のしぐさが少し古○任○郎に似ていたような気がするのは気のせいかしら?(笑)
劇中でちょこっとマジックも見せてくれますよ♪
後半で、ホームズが真相を突き止めたものの、容疑者の気持ちを察して苦悩する気持ちを歌う場面は圧巻です!

ワトソン役の一路真輝さん、あっけらかんとした強い大人の女性なんだけど、とてもかわいらしいんです。
橋本ホームズと息の合った掛け合い、いいコンビですね~

そして何より一路さんは歌が素晴らしい!
一路さんの出演される公演を生で観たのは初めてなので、その歌声を生で聞けてうれしかったです♪

アンダーソン家の双子の兄弟アダムとエリックの2役を演じる浦井健治くん。
強気な性格の兄アダムとおとなしい性格の弟エリックを舞台上で2役演じる場面もあるのですが、声色も表情も一瞬で変わり、見事に2役を演じ分けています。
最初のうちは本当に2役ですが、だんだん2役じゃなくなってくるストーリー展開、最後は「君は本当にそれでいいのか?」と思うような切ない結末に・・・
浦井くんもやっぱり歌がうまい!低音も高音もきれいに出ていて、聞いていて心地よいですね。
ブラック浦井とホワイト浦井と両方観られるので、浦井くんのファンの方はたまらない作品かも。

アダムとエリックの両方から愛されるルーシー役の昆夏美ちゃん。
二人の間で揺れる心を丁寧に演じています
。この人もまた美しい歌声の持ち主ですね。歌声に力があります。
学生時代の元気いっぱいでかわいらしいルーシーから、どこか陰のある女性へ変わっていったところは劇中では描かれていないのですが、それを感じさせるだけの深みもあります。
関係ないけど、昆ちゃんは小柄でかわいらしい見た目とは裏腹にすごくパワーを感じさせる人ですね♪

アダムとエリックの叔父ボビー役の大澄賢也さん。
今回ははっきりとした悪役です。でも、ホームズに依頼された件での真犯人ではないんですよねぇ。
出番は少ないながら、強烈に印象を焼き付けてきます。
そして、ダンディーで落ち着いた佇まいがとても素敵です♪
アダムやエリックとのバトルの場面はすごく緊張感があっていいですね。バチバチ火花が散ってます。

何かとホームズに絡んでくるレストレード警部役のコング桑田さん。
親しみやすい、ちょっと抜けた感のある面白くて素敵な警部さんです。
憎めない、かわいいオジサンといった感じ。ファンになりそう(笑)

ボビーのボディーガードであるスレニー役の石井一彰くん。
クールに、時には狂気じみた表情も見せながら、「ただのボディーガードじゃない男」スレニーを演じています。
立ち姿とか立ち回りとかすごくかっこいい♪『謎の男』の雰囲気がよく出ています。
でも、出番少ないし、スレニーは無口だからセリフも少ないんですよね。
その代り、他にもいろんな場面でチョイ役で出ています。そこでスレニーとのギャップを楽しむのもいいかも?

命を狙われる金持ちの奥方、アダムの浮気相手の女優、アダムの秘書、セクシーなスター女優、よく分からないマダムと複数の役をこなしている宇野まり絵ちゃん。それぞれの役の個性をしっかり出してきてましたね~。
本編とは関係ない場面ではあるけど、ワトソンが家賃の高いホームズの部屋を手放そうと考えて、部屋の見学に連れてきたマダムの役が強烈でした(笑)
なかなかの実力派だと思います。

ホームズが過去に解決した事件の犯人の一人、劇場のスタッフ(?)のオジサン、レストレード警部の部下など、こちらも複数の役をこなす竹下宏太郎さん。何とも言えない、いい味出してます!
ホームズと絡む劇場のオジサンは、大阪に行ったらその辺にいそうな感じ(笑)
レストレード警部との絡みもセリフは少ないですが、警部にも劣らずとぼけた雰囲気で面白いです。

ストーリーは、推理小説を読んでいる予期のようなドキドキ・ワクワク感があり、どんでん返しのさらに返し?みたいな感じで面白かったです。

カーテンコールでは、愛知県出身の一路さんが挨拶。そして橋本さんも名古屋弁で挨拶♪
さらに橋本さんは「次にこの作品をやる時は、この客席全部埋めるぞ~!」と。
愛知県芸術劇場はステージはそんなに大きくないけど客席が5階席まであって、今回は2階席まではほぼ満席、3階席以降はほとんど空席だったんです。
名古屋ではあまり大々的に宣伝されてなかったのもあるかな。

登場人物それぞれの視点でみると、また違った面白さがありそうなので、ぜひまた観たいです。
同じメンバーで再演されるといいなぁ!