「1789~バスティーユの恋人たち~」帝国劇場 観劇感想

2022年10月15日

今日は帝国劇場で「1789~バスティーユの恋人たち」を観てきました。
役替わりは、ロナン:加藤和樹さん、オランプ:夢咲ねねさん、マリー・アントワネット:凰稀かなめさん、そして子役はシャルロット:万座みゆちゃん、ジョセフ:大河原爽介くんでした。

フレンチロックミュージカルということで、音楽もダンスもメチャクチャかっこいいです!
ストーリーは分かりやすいですし、兵士や革命家、民衆が何度も客席を駆け抜けていくので臨場感もあります。
ダンスはかなり激しくて、シングルキャストは大変そう。
本当にダンサーの皆さんを尊敬しちゃいます。

衣装も豪華だし、アクロバティックなダンス、ノリのいい歌とテンポのいいお芝居、本当に見ごたえのある作品だと思います。そして、ツッコミどころもちょこちょこあって面白いし。
これは嵌りますね~(*^-^*)

さて、ではまたメインキャストを中心にそれぞれの感想を少しずつ書いてみます。

加藤くんのロナンは、貧しい農民らしい無骨さと不器用さを兼ね備え、堂々とした演技で存在感を見せつけてくれます。
私が加藤くんを観たのは「レディ・ベス」以来ですが、歌もお芝居も前より断然うまくなっていて、さらに成長したなぁって思いました。
愛知県出身という事で勝手に親しみを感じて応援いるのですが(笑)今回は主役!やっぱり活躍しているのを見ると嬉しいですね~(*^-^*)

ねねちゃんのオランプは、王宮で王太子の教育係を務められるくらいの気品がありつつ、貴族の娘とは違う自分を意志を貫き通す芯の強さも併せ持つ女性に仕上がっていて、さじ加減がうまいと思いました。
歌声もきれいで、聴きやすかったです♪

かなめさんのマリー・アントワネットは、宝塚卒業後初めての女役という事ですが、外見は申し分なく華があって美しいですし、役としても思ってたよりずっとかわいらしくて歌も違和感なく、安心して観ていられました(*^-^*)
後半に向けてマリーが王妃として自覚を持ち始めるところからは、本当に切ないです。

そうそう、国王が処刑の時に罪人が苦しまずにすむというギロチンを研究させていて何度も模型が登場するのが、なんとも皮肉というか王宮の中に不穏な空気を感じさせますね。

このギロチンの模型を見たマリーが最初は「まあ!そんな物騒なものを」と顔をそむけるのですが、後半では国王に「この模型は後で取りにくる」と言われた時にマリーは落ち着いて微笑みながら「御意のままに」と答えるんですよね。これがマリーが王妃として全てを受け入れる覚悟を決めたことを示唆しているんだと理解しました。

古川雄大くんのロペスピエールは、ダンスもお芝居での所作もきれいで品があり、いかにも育ちのいいインテリ男子といった感じ。それゆえ、同じ平民でも貧しい農民たちとの格の違いが際立ち、ロナンから「お前たちは飢えたことがあんのか!!」と言われた時のロペスピエールの苦悩が伝わってきやすいです。
史実では革命後は独裁者へ変わっていってしまうロペスピエールですが、ここでは自由と平等を叶えようという情熱を胸に活動を続ける若者の一人として描かれています。

上原理生くんのダントンは、ロペスピエールとは正反対の陽気で声も大きい豪傑。自由人を気取っていながらも、初めて本気で惚れたロナンの妹ソレーヌに一途に愛情を注いでいます。
上原くん、こういう役がよく似合うなぁ~(笑)
歌はいつもながら安定していて、パワーがあり、革命を扇動するダントンのイメージにぴったり。
そして、初めて上原くんが踊っているのを見ました。
すごい頑張っていて、意外にしっかり踊れてるし、かっこよかったですよ❤

渡辺大輔くんのデムーランは、革命家の中で一人だけ恋人との結婚が決まって幸せオーラを出しています。
情に厚く、誠実で何事にも一生懸命なデムーランでした。
ただ、全く正反対の個性を出しているロペスピエールとダントンの間で、個性を出し切れず印象が薄くなってしまっているのがちょっと残念。舞台映えするルックスなのにもったいないです~。

ソニンちゃんのソレーヌは、最初は健気に生きる農民の娘だったのが、兄ロナンを追ってパリに出ていろんなことを体験し、学び、強くなっていく様子が細かく描かれているわけではないですけど、そういったバックグラウンドを感じさせる演技を見せてくれます。
そして、ソニンちゃんの魅力であるパワフルな歌声も革命の中でうまく生かされていますね。女たちの反乱の場面もカッコいい~!!

みゆちゃんのシャルロット。パリ下町に住む元気で威勢のいい女の子。
どこかレミゼのガブローシュを彷彿させます。演技も上手だし、かわいいですね(*⌒―⌒*)

爽介くんの小さな王太子ジョセフ。セリフもほとんどないですけど、とってもかわいらしいかったです~。

岡幸二郎さんのペイロール。国王の軍隊を率いるペイロールはロナンにとって父親の仇。
冷酷な悪役ですけど、すっごいかっこいいです!
岡さんのペイロールがレミゼのジャベールに見えたなんて声も聞こえてきますけど、ペイロールは全く揺るがないですからね~。立っているだけで威圧感を与える空気を醸し出し、歌も迫力満点です。

吉野圭吾さんのアルトワ。王座を狙う国王の弟で、いろいろ策を練って実行するも毎回詰めが甘くて失敗するところがクスッと笑えます。悪役ながらどこか憎めないキャラに仕上がっています。
アルトワの衣装がメンズの中で一番デカイ!動くのが大変そう(笑)
後半でマリーが王妃の自覚に目覚めたあたりからは、精神的に成長したマリーとの対比でアルトワがどんどん愚かで器の小さい男に見えてきます。

広瀬友祐くんのフェルゼンは、ヨーロッパ各地に多くの愛人がいたという史実のフェルゼン伯爵とは違い、一筋にマリーを愛するベルばらのフェルゼンに近いイメージ。すらりと背が高く、凛々しい立ち姿は王子様のようでかっこいいです♪
ただ、こちらも個性の強い王宮チームの中で埋もれてしまった感があり、ちょっと印象が薄かったかな(^^;

坂元健児さんのラマールは、王宮の秘密警察・・・なんですが、登場シーンが強烈で「そ、そ、そんなキャラなんですかぁ?!」とびっくり(笑)
最初誰だか分からなくてガン見してたら、他の登場人物たちの登場シーンを見逃しちゃいました(^^;
部下のトゥルヌマン(岡田亮輔さん)とロワゼル(加藤潤一さん)を引き連れ、コミカルに場を和ませるお笑い担当になってます。もちろん歌を聴かせるところはしっかり聞かせてくれますよ!
オランプに惚れていて、オランプが危機に陥るたびにさりげなく(?)救ったり、何度かアピールするもののフラれ続けるラマールが健気で愛おしく思えてきます(*^-^*)

立川美貴さんのネッケルは、平民と王族階級の橋渡し役を国王から仰せつかっている銀行家。
平民と王族階級の仲立ちをするために奔走し、国王に対して平民の意見も聞き入れるようにと熱弁をふるうネッケルさん、存在感があってダンディで素敵でした(*^-^*)

増澤ノゾムさんの国王ルイ16世は、政治にあまり興味がなく周囲の言いなりで、王妃とも心は通じていなくて浮気され、自分が愚かな王であることも分かっていて、常にどこか孤独感と諦めと虚しさを漂わせている感じでした。
ルイ16世は、大抵穏やかで感情の起伏が少ないので、小さなセリフ一言一言に微妙に悲しみや苦悩、喜びを含ませていかなければならない難役ですが、同じ「そうか」の一言でも場面によって微妙な気持ちの動きがしっかり伝わってきてすごいと思いました。

飯野めぐみさんのポリニャック夫人は、マリーとフェルゼンの逢引きを手伝うマリーの味方のようでいて腹に一物ありそうなしたたかさを感じさせます。結構存在感があって印象的でした(^^)

覚えているのはこれくらいかな。
5月に大阪でもう一度観る予定です。その時は花總まりさんのマリーアントワネットです。
役替わりで観たくて役替わり表をチェックしてみたのですが、どうしても日程が合わず小池徹平くんのロナンと神田沙也加ちゃんのオランプの日が取れませんでした。残念です~(ノ_<。)

激しいダンスシーンや客席を駆け抜けるシーンが多いこの作品、大千秋楽までどなたも怪我することなく無事に終えられることを祈っています。