「王家の紋章」大阪公演 観劇感想

2022年10月13日

5週連続観劇、3作品目は「王家の紋章」。大阪まで行ってきました。

実は私は少女漫画があまり好きではなかったので、代表的な少女漫画「ベルサイユのばら」や今回の「王家の紋章」、「ポーの一族」なども全く読んだことがありません(^_^;)
どちらかというと「シティーハンター」とか「キャッツアイ」とか「ブラックジャック」などの少年漫画の方が好きだったんですよ。
単なる食わず嫌いだったんだと思いますけどね。

なので全く内容を知らないまま観劇。
結論から言うと、すごく面白かったです♪
マンガを読んだことがない私でも少女漫画的要素がよく出ているなと感じました。
まあ要するに女の子が好きそうなシチュエーションが盛りだくさんってことです(笑)

開演前に会場に入るとナイル川の流れを表現したような水の揺らぎのような照明で、作品の世界に引き込まれます。
しかし、この照明のせいかなんだか心地よくなって危うく開演前に寝落ちしそうになっちゃいました(笑)
なんかね、水族館の水槽の中を通るトンネルみたいな通路の中にいるような感じ?

今日の役替わりキャストは、キャロル役が新妻聖子さん、イズミル役が平方元基さんでした。
またメインキャストの感想も一言ずつ書いてみようと思います。
古代エジプトの王メンフィス役の浦井健治さん。
王としての威厳を保ちつつ、思い通りにならないキャロルに戸惑う難しい役どころをうまく表現していたと思います。
キャロルに素直に「傍にいて欲しい」と言えなくて「どこにも行ってはならん。命令だ!」というツンデレメンフィスがなんともおかしくて、愛おしいです。笑う場面じゃないんですが( *´艸`)クスッ♪

現代のアメリカ人少女キャロル役の新妻聖子さん。
「王家の紋章」のマンガが大好きという新妻さん、主役を食う勢いの存在感!
まあ、原作ではキャロルが主役らしいですから、いいんじゃないでしょうか(笑)
1幕での幼さが残るかわいらしい少女から、古代エジプトにタイムスリップしていろいろな体験をする中で成長していく過程を見事に表現。メンフィスをはじめとする古代エジプトの人たちやイズミルがキャロルに魅せられていくのが納得できます。さすがですね♪
本当にかわいらしいキャロルでした(*^-^*)

ヒッタイトの王子イズミル役の平方元基さん。
美しく色気もあって、いいですねぇ~。
妹を殺された怒りから、キャロルを誘拐し戦争を起こさせるんだけど、根は優しいんだろうなっていうのが感じられました。

メンフィスの姉アイシス役の濱田めぐみさん。
王族の近親相姦は当たり前だった時代。弟のことを心から愛し、王となった弟の妻となることを望むアイシス。
メンフィスへの狂おしいほどの愛情が伝わってきます。そして、メンフィスがキャロルを妃に迎えることが決めた後の悲しみに満ちた歌と表情は切ないです。

しかし、アイシスという人は弟の墓を荒らされたことに怒ってキャロルを古代エジプトに連れてきたは良いが、結局メンフィスがキャロルに惚れてしまったり、自分が妃になるために同盟国の使者としてやってきた姫を殺してしまったことで、本来しなくてもいい戦争をする羽目になったりと、何かと詰めが甘いキャラクターですね(笑)

キャロルの兄ライアン役の伊礼彼方さん。
現代のやり手ビジネスマンとしての立場と突然行方不明となった妹への思いで揺れる気持ちがよく表現されていたと思います。
メンフィスとキャロルが結婚しちゃって、取り残されたライアンはどうなっちゃうんだろう?ちょっとかわいそう。

イズミルの妹ミタムン役の愛加あゆさん。
メンフィスに甘い言葉をささやかれて妃になれると舞い上がってしまうミタムン。
アイシスの気持ちを知らないとはいえ、これじゃアイシスも怒るよね、と納得できるいかにも嫌らしい演技を見せてくれます。

ヒッタイトのスパイとしてエジプトに入ったなら、もう少し慎重にアイシスのことも調べてうまく立ち回ればアイシスに殺されずに済んだだろうに・・・というか、ヒッタイトの本当のスパイのルカはエジプトの情報をミタムンに伝えてなかったの?とかミタムン周辺に関してもツッコミどころ満載( *´艸`)

エジプトに臣下として潜り込んでいるヒッタイトのスパイのルカ役、矢田悠祐さん。
エジプトに潜伏している時の無表情さとイズミルを前にした時の表情が明らかに違い、スパイらしいしたたかさとイズミル王子への忠誠心がよく伝わってきました。
「キャロルの側近として仕えているが・・・」という説明書きがあったんだけど、今日観た限りではキャロルの側近だとは分かりませんでした。初演ではその関係が分かる場面もあったようなんですが。

古代エジプトでキャロルの身辺警護をしているウナス役の小暮真一郎さん。
キャロルを見る目がすごく優しいし、キャロルに振り回されながらもなんか嬉しそう(笑)
メンフィスとキャロルの幸せそうな姿を見つめて本当にうれしそうにしていて、主人の幸せは自分の幸せというのが伝わってきます。そんな真っ直ぐなウナスが愛おしかったです(*´∀`*)

エジプトの女官長ナフテラ役の出雲綾さん。
女官という立場なので控えめながら、キャロルの傍で世話をしながら母のように温かく見守るナフテラ。
ふとした瞬間にお茶目さもにじませつつ、懐の深さを感じさせます。
この役は加減が難しいですよね。本当にお母さんのようになってもいけないし、キャロルの心から離れすぎてもいけないし・・・出雲さんはこの微妙な距離感をうまく表現していたのではないかと思います。


古代エジプトの宰相イムホテップ役の山口祐一郎さん。
出番は少ないですが、さすが貫禄と存在感がありますね。
古代エジプトの賢者で宰相として出てくるだけで安心感があります。
それでいて愛嬌もあって素敵なおじいちゃんっぷり、素敵です♪

メンフィスの家臣ミヌーエ将軍役の松原剛志さん。
若き王メンフィスを傍で見守る温かいまなざしと、盾突く者への容赦ない態度。
将軍らしい貫禄も感じられました。

最初にキャロルを見つけて保護しようとする奴隷の少年セチ役の工藤広夢さん。
奴隷の身で力が及ばないながらも必死でキャロルを護ろうとするピュアで真っ直ぐなセチに本当の意味の強さを感じさせてくれます。どんな状況でも他人を恨んだりしないセチにキャロルも本当の強さとは何かを学んだんじゃないかなと思いました。
セチは結構重要なキーパーソンですよね。

アンサンブルの皆さんも、ダンスとかすごいし、かなりハードですよねぇ。
それから奴隷役を踏みつけたり蹴飛ばしたりすることで、古代エジプト時代に身分の差で扱いがどれだけ違ったのか、奴隷の命がどれだけ軽い扱いだったのかがよく現されていました。

ツッコミどころはたくさんありますけど、面白かったです。
マンガも読んでみたくなりますね。
でも、今も完結していないらしいので、買って読むにはちょっと厳しいなぁ(^_^;)