ミス・サイゴン大千秋楽 観劇感想

2022年10月13日

「ミス・サイゴン」大千秋楽を観てきました。
3階席の最前列だったので、人の頭も邪魔にならず舞台全体を見渡すことができて観やすかったです♪
ドラゴンダンサーたちや兵士たちのフォーメーションもよく見えて良かった(*^-^*)

大千秋楽ということもあり、キャストの皆さんもすごく集中されていて素晴らしい舞台を魅せてくれました°˖✧

また少しずつメインキャストの感想を・・・

市村正親さんは、10月に帝劇で観た時はアドリブたくさん入れてすごく楽しんでらっしゃる様子でしたが、今日はアドリブは抑え気味でエンジニア役の基本に立ち返り丁寧に演じてらっしゃったように感じました。
飄々とした中にエンジニアの孤独と悲しみをにじませ、キムと行動を共にするうちに少しずつ変わっていくエンジニアの心境も伝わってくる市村さんのエンジニアは素晴らしかったです。
カーテンコールの挨拶では「ここまで長く続けてこられたのはひとえに私の努力のおかげです!」なんてお茶目な冗談から始まり、初演時は週10回出演していて今は役替わりの人が増えて少し楽になったという話から「週1回くらいの出演なら続けられるかもしれない」とおっしゃって「ミス・サイゴン」カンパニーに戻って来ることも否定はしませんでした。

今回は残念ながら駒田一さんのエンジニアを観ることができませんでした・・・

キム役の笹本玲奈さんは、今回の公演でキム役を卒業されるんですね。
一昨日よりもさらによくなっていて、12年間キム役をされてきた集大成を見せてくれたように思います。と言っても、笹本さんの初出演の頃は私知りませんけど・・・(^^;
戦争で村が焼かれて逃げてきたばかりの頃のまだ無垢なキムからクリスと恋に落ち、息子が生まれ、ひどい扱いを受けながらも、ただただクリスの愛を信じて生きようとする姿に、2年前に初めて「ミス・サイゴン」を観た時納得できなかったキムの自殺が今回初めて腑に落ちた気がしました。
でも、この作品は答えが一つではない気がしていて、いろんな捉え方をしていいのではないかとも思います。

キム役はスハさんと笹本さんは観ることができましたが、昆夏美さんは病気療養から名古屋公演で復帰したものの観ることは叶いませんでした。でもカーテンコールで元気な姿を見られて良かったです♪

クリス役の上野哲也くんも、帝劇で観た時よりすごく良くなってました!
歌ってるときも余計な力が抜けたようで安心して観ていられました(*^-^*)
上野くんのクリスは、あえてクリスの弱い部分を表現しているようですが、それが逆に強さにも見えてくる不思議な感じがしました
弱さは強さにつながり、強さは弱さにつながる・・・なんか哲学書に書いてありそうですけど(笑)

ジョン役の上原理生くんは、今日がジョン役初出演から99回目だったそうです。
上原くんはファンイベントの時にジョン役についてすごく熱く語ってくれたおかげで、ジョンという人物とそこに関わる人物たち、ブイドイと呼ばれ差別された子どもたちのことを知り、より「ミス・サイゴン」の世界を深く感じることができました。
上原くんのジョンは2年前(あ、年越したから3年前?)に初めて観た時から熱いんですけど(笑)、2年前より明らかに成長して変わってましたね。役作りがより深くなって、欲に2幕のキムの立場とクリスとエレン夫婦の立場を知っているからこそ苦悩するジョンの気持ち、やるせなさが今回の公演ではよく伝わってきました。

この公演に限らずカーテンコールでの挨拶の時に、上原くんが話し始めようとすると笑いが起きて上原くんが「なんで笑うの?!」って言うのが恒例のようになってる気がする(笑)
なんだろうねぇ、なんか笑っちゃうの。なんかちょっと変わったことを言ってくれそうな雰囲気というか、それを期待する笑いかもしれない。別に上原くんが毎回変わったことを言ってるわけじゃないんだけど、たまに意表を突く言葉が出てきたりするから「おぉ、そう来るか!」って(*´艸`*)
そんな風に会場からもいじられる上原くん、皆に愛されてるねぇ。
挨拶の中で「今日がジョン役99回目だったから、100回目も市村さんと一緒にミス・サイゴンの舞台に立ちたい」と言ってました。叶うと良いですよねぇ。私もまた観たい(*´꒳`*)

エレン役の知念里奈さん。
知念さんのエレンは、クリスを無償の愛で支える聖母マリアのような印象でした。
クリスより先にキムと会ってしまって、クリスがキムを選ぶなら私は身を引こうと歌う場面は涙が止まりませんでした。エレンがすべてを受け入れ無償の愛でクリスを支えてきたからこそ、クリスはエレンを選ぶんだと納得できました。

今回の「ミス・サイゴン」帝劇も含めて3回観たんですけど、なぜか3回とも上原ジョンと知念エレンで、残念ながらパク・ソンファンさんのジョンと三森千愛さんのエレンは観られませんでした。大千秋楽以外は、役替わり気にせず自分の予定に合わせて取ったチケットだったんですけどね。

トゥイ役の藤岡正明くん。
本当にキムのことを愛していて、必死で探して迎えに来たのにキムをクリスに取られ、キムがアメリカ野郎が好きだというなら自分はそれを上回る身分になって迎えに行けば受け入れてもらえるかもしれないと思ったのに、また拒否されてショックを受ける。さらにクリスとの子どもまでいてキムの強い決意を知った時の絶望感。
「なんで、俺じゃダメなんだぁ!」という心の叫びが聞こえてきそうなトゥイでした。
カーテンコールの挨拶では、藤岡くんのことをずっと見守ってきて「ミス・サイゴン」の公演期間中に亡くなられたというお祖父さまへの感謝の気持ちを語っていました。

ジジ役の池谷祐子さん。
生きるために娼婦になったジジの悲しみと苛立ちと絶望感。それと同時に最悪な状況の中でも必死に生き抜こうとする強さも感じさせるジジでした。
池谷さんカーテンコールの挨拶では、感極まって泣いてしまい、上原くんが肩を軽く抱いてあげてました。

この公演はアンサンブルの皆さんの存在が不可欠なんですよね。
皆さんそれぞれいろんな場面に出ていて、一人一人の感想を書くのは難しいんですけど、ベトナム戦争中のサイゴンの街の混沌とした雰囲気、ドリームランドの猥雑な雰囲気など、会場の空気をいっぺんに変えてしまうエネルギーや熱量は毎回すごいなと思って見てました。

カーテンコールでは、今日のメインキャストそれぞれから挨拶の後には、すでに千秋楽を終えた役替わりのキャストも加わりカンパニー全員が揃い、市村さんの「リターン公演の練習でアメリカンドリームを皆さんと一緒にやりたいと思います!」という一声で、全員でアメリカンドリームを歌って会場からも手拍子!3人の子役ちゃんたちもアメリカンドリームのダンサーの振りをやっていてかわいかったです~\(^o^)/
さらに、いつもは千秋楽に全てが終わって緞帳も降りた後にキャストの皆さんやスタッフの皆さんが集まってやる手締めを、市川さんが今日は会場の皆さんと一緒にやりたいとおっしゃって、手締めも一緒にやらせていただきました。
最後はこんな温かい雰囲気に幸せな気分になって会場を後にしました。
作品自体は決して明るい内容ではないんですけど、ミス・サイゴン好きです。
また再演されたときは観に行きたいですね~(^-^)