「アリス・イン・ワンダーランド」中日劇場

2022年10月18日

今日は「アリス・イン・ワンダーランド」昼公演を観てきました。

「大人になると、つい意地を張っちゃったり、素直に甘えられなかったり、することあるよねぇ」と、アリスに共感しつつ、その状態から抜け出そうともがき、自分を見つめ直し、大事なことに気づいていく過程がワンダーランドという形でうまく表現された作品だと思いました。

仕事も家族関係もうまく行かなくて、ストレスいっぱい溜めこんでしまっているパンクしそうなアリスという女性が寝ている間に見た夢という形でワンダーランドに迷い込んでいく。
楽しい場面あり、シュールな場面あり、泣ける場面ありで面白かったです。

アリスの存在があまりにリアルで、私自信もそういうことあるし、私のところに来られるクライアントさんにも周囲の人にもありがちだし・・・30代以上の女性は特にアリスに共感しやすいかも。

また今回もメインキャストを中心に感想を書いていこうかな。
別に書かなくてもいいんだけど、何となく書かないと自分が落ち着かなくて(笑)

アリス役の安蘭けいさん。
仕事に追われ、家族とのコミュニケーションもうまく取れずにすれ違ってばかりの等身大の大人の女性をリアルに表現されています。そこに安蘭さんらしいユーモアをピリリと効かせて、重くなり過ぎず、軽くなり過ぎず、絶妙なバランスですね。歌も相変わらず素晴らしい~!
1幕初めの方で、アリスが転ぶ場面では「何かあった?!ん?なんもないがね!」とアドリブで名古屋弁(笑)

帽子屋役の濱田めぐみさん。
一番の感想は、めっちゃかっこいい!(笑)
圧倒的な歌唱力と存在感。それに尽きますね~。
冒頭の場面では、アリスの職場の編集長として出てきています。

帽子屋はアリスの中にあるドロドロした闇の部分なのかな?
帽子屋が支配しようとしていたのは、自分をコントロールできなくなったアリス自身ということなのね。

ハートの女王役、渡辺美里さん。
学生時代に美里さんの曲をよく聞いてた世代としては、生舞台でお姿を観ることができてうれしいです!
パワフルな歌声は今も変わらず。ちょっとおとぼけキャラでとてもキュートな女王様です。
出番は多くないけど、出てくると場の雰囲気がガラッと変わりますね。
ブラックな部分を担う帽子屋が少し悪い雰囲気を醸し出している場面に、女王様が出てくるとパッと明かりがともるような感じ(*^-^*)

バランスを重視する女王様の姿は、何とか心のバランスを保とうとするアリスの理性を表しているのでしょう。
1部では、帽子屋からの誘惑(?)を却下していた女王様が、2部になると理性が失われ始めて女王様ピンチ?
帽子屋とハートの女王の駆け引きが、アリスの心の葛藤なんだろうな。

ウサギ役の平方元基くん。
ストーリーテラーの役割をしているウサギくんですが、体デカイくせに気弱でアリスに怒られるたびに怯えて小さくなってるのが、かわいいです(笑)
「不思議な国のアリス」の作者ルイス・キャロルとしても出てきて、アリスに自分と向き合い、気付きを促す大事な役割も持っているんですね。

アリスの娘クロエ役の唯月ふうかちゃん。
とってもかわいらしく10代の女の子を演じています。
お母さんに反発しちゃったり、家族のことを心配したりと、等身大の思春期の女の子らしい雰囲気がよく出ていました。

白のナイトとアリスの夫ジャックを演じる石川禅さん。
アリスの夫として、クロエの父親として何とか家族を支えたいと思っているけど、うまく行っていないちょっと情けないジャック。でも、家族への愛情が伝わってきます。
そして、アリスの夢の中では、ワンダーランドに住む白のナイトとして出てきます。
白のナイトの登場場面は、ワンマンショーみたいになってる。禅さんステキ♪(笑)
終始、アリスへの愛情にあふれ、どんなに拒否されてもめげずにアリスを見守ろうとする姿がいいですね。

モリス役の松原剛志さん。
モリスって、ウサギなのね。平方くんが白ウサギで、こちらが黒ウサギと言ったところかしら?
すごく悪そうな顔でいろいろ言っているけど、実は帽子屋の口真似をしているだけという、なかなかシュールなキャラクターです。面白いですけどね(笑)
冒頭の場面では編集長の部下として出ていますが、ここですでに帽子屋とモリスの関係を表していたんですね~。
お茶会の場面で、アリスに「これ、何茶?」と聞かれてのアドリブ「え?え~、え~と、普通の・・・」(笑)
ウサギがアリスを良い方向へ導く役割なら、モリスは帽子屋と共に足を引っ張る方ですね。

芋虫役の新納慎也さん。
「焦らず、じっくり考えれば・・・」が口癖の芋虫くん。いつでもじっくり考えるので間に合わない(笑)
じっくり考えている芋虫くんの“間”が、絶妙で笑いを誘います。
この“間”がずれると芋虫くんじゃなくなっちゃうもんねぇ。新納さん、さすがだなぁ。
なんかねっとりした雰囲気も芋虫っぽくてよかったよ。

エル・ガト役の小野田龍之介くん。
とってもチャラくてファンキーなネコさんです。でも、それだけじゃなくて、いざという時は意外としっかりしている(?)エル・ガト。結構かっこいいですよ(^^)
小野田くんの明るい雰囲気が、役にうまく嵌っていてステキなエル・ガトになっていました♪

アンサンブルの皆さんも大活躍な作品。
アンサンブルの皆さんが一番早替わりが多かったんじゃないかと・・・男性キャストもかわいらしいアリスの格好してたりとか(笑)

この作品は、最終的に自分の問題に気づいたアリスが、その後どうなるのかまでは描かれていません。
「自分の問題に気づいて解決するか、気づいても見て見ぬふりをするか、うまく行かなくて諦めちゃうかは、あなた次第ですよ」というのが、この作品の最後のメッセージなのかなと思いました。

多分、この作品を観た人は必ず何か考えさせられたり、背中を押してもらったりと、とにかく一歩踏み出すきっかけになるんじゃないかと思います。
私は、なんかこの作品を観て前へ進む勇気をもらったような気がします。
楽しくて、ほんわか心が温まる作品でした♪