ミュージカル好きな心理カウンセラーが書く観劇感想とその他もろもろ
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ミュージカル『モーツァルト!』
先日、ミュージカル『モーツァルト!』を観てきました。
本格的にタカラヅカ以外の舞台を観るようになったのは去年からなので、今のところまだ初見の作品が多いですね。
この作品も今回が初めての観劇です。
それに帝国劇場へ行くのも初めて。2階席の後ろの方だったのですが、それほど遠い感じはなくて結構見やすかったです。

東京への出張のついでに観てきてから時間が経ってしまったので、はっきり覚えてないかも(^^;

私が観たのは11月15日夜の部。役替わりキャストは、山崎育三郎くん(ヴォルフガング)、ソニンちゃん(コンスタンチェ)、春野寿美礼さん(ヴァルトシュテッテン男爵夫人)、柿原りんかちゃん(アマデ)でした。

面白いと思ったのは、子ども頃のモーツァルトであるアマデが、10代以降のモーツァルトのヴォルフガングにずっとついて回って、見守ったり、一緒に作曲したり、傷つけたり、翻弄したりする演出方法です。

アマデは「才能」を表すキャラクターだという事になっていますが、私はちょっと違う見方をしていました。
実際には「才能」が本人を傷つけたり、翻弄したりするわけじゃないですからね。

心理学の一つ『交流分析』を学んだことがある人には、これを読むとピンとくるかもしれません。
アマデは、モーツァルトの人生脚本を表した存在じゃないかと。
幼い頃に自分を護るためや親から愛情をもらうため、生き残るために自分で「こうしよう」と決めて自分自身に課した、いくつもの禁止令決断。
人はそれらの禁止令決断をまとめて、9歳までに一生分のシナリオを書き上げてしまうと言われています。
大人になってから生活環境や価値観に合わなくなった禁止令決断が自分自身を傷つけることもあり、人生脚本から逃れたいと思ってどんなに頑張っても、自分で禁止令決断に気づいて変えない限り、結局は元の人生脚本に引き戻されてしまうのです。
そのことがアマデの存在で、自分の人生脚本から逃れようともがき苦しみながら、結局逃れられなかった男の話として、分かりやすく表現された作品だと思いました。
そして、アマデが持ち歩いている美しいオルゴールはモーツァルトにとって大切な思い出と彼の才能を、白い羽ペンは彼の人生脚本を構成する禁止令決断を表す小道具ではないかと私は思っています。実際、アマデがヴォルフガングを傷つけたり、死を迎える場面で白い羽ペンが使われていますから。

心理療法士の立場から見たら、アマデの存在が交流分析の理論があまりにもぴったり当てはまるので「これ、すごいなぁ」って思って、書いちゃいました(*^_^*)

さてさて、ここからはメインキャストの方々の感想を書いていこうと思います。
記憶があいまいな部分もあるので、覚えている範囲で。
育三郎くんのヴォルフガングは、1幕ではやんちゃな男の子という印象。世間知らずで観ていてハラハラするような危うさを感じました。パパに本当の自分を認めてもらいたくて、家を飛び出し、成功を夢見るものの思うようにいかず、借金を抱えて、一緒についてきた母親が病に倒れても薬を買うことができずに死なせてしまう。そこから、少しずつ精神的なバランスを崩していく過程は、すごく切なくなっちゃいました。
2幕以降のヴォルフガングは、ひたすら借金返済とパパに認めてもらうためだけに身を削って曲を書き続け、ついにパパに認めてもらえないままパパが世を去った後は、ますます狂ったように曲を書き続け、ついに死を迎える場面は壮絶です。

柿原りんかちゃんのアマデ、とてもかわいらしいです。セリフも歌もなしでモーツァルトの心の中に住むもう一人のモーツァルトを表現するというかなりの難役だと思うのですが、小さいながらに一生懸命演じていて、それがまた上手!特に2幕では、ぞっとするような恐ろしさすら感じました。

ソニンちゃんのコンスタンチェは、貧しい家の家族に虐げられながらも懸命に生きる、エネルギッシュな女性といった印象。ヴォルフガングを心から愛し、懸命に支えようとするものの、心はすれ違い、孤独感を深めていく姿はとても切なく胸に迫ります。史実上では悪妻と言われてしまっているコンスタンチェですが、なぜそう言われるような行動をしたかが納得できる感じ。ソニンちゃんの歌声はパワフルに訴えかけてくるように、感情がよく伝わってきました。

花總まりさんのナンネールは、モーツァルトの姉の子どもの頃から大人までを1人で演じる難役ですが、子どもの頃の無邪気でかわいらしいナンネールから大人になり希望を失って物憂げな雰囲気をまとったナンネールまでの心境の変化の表現が見事です。
弟のヴォルフガングと母親が家を出て、母親は弟の借金のせいで治療を受けられないまま病気が悪化して亡くなり、父親は弟の心配ばかりでナンネールのことをちゃんと見てくれず、家族の心がバラバラになってしまったことへの不満、静かな声の中にその憤りを含ませた歌は心に迫るものがありました。

市村正親さんのレオポルト。父親としてヴォルフガングの生涯に渡って影響を与え続ける存在。
息子のヴォルフガングが世間にもまれて傷つき汚れることを恐れて、自分の目の届く範囲につなぎとめて護りたいと願うが、それがヴォルフガングの目には自分の才能を発揮する機会を奪うものとして映り、結果的に本当の自分を認めてほしいと懸命な息子を追い込むことになってしまう。この息子との心のすれ違いがとても切なく、心に響きます。胃がんの治療から復帰されたばかりの市村さんですが、歌声は全く衰えることなく、素晴らしかったです。

春野寿美礼さんのヴァルトシュテッテン男爵夫人。早くからモーツァルトの才能に注目し、成長したヴォルフガングのパトロンとなる人。春野さんの男爵夫人はヴォルフガングを温かく見守っているような、そうでないような不思議な雰囲気ですが、ヴォルフガングが才能を発揮して活躍することは心から喜んでいるのが感じられました。
会場を大きく包み込むような歌声は、1幕ではヴォルフガングの才能を祝福するように温かく、2幕ではヴォルフガングの将来を暗示するように切なく響きます。
9月に春野さんのコンサートにも行きましたが、やっぱり春野さんはミュージカル作品の中で歌っている時の方がより輝いて魅力が増すような気がします。

山口祐一郎さんのコロレド大司教は、ザルツブルクの権力者でヴォルフガングにとっては才能とチャンスをつぶそうとする嫌なヤツ。
ヴォルフガングの才能を見抜き、それに嫉妬しつつ独占しようと企む姿が不気味な印象ですが、コミカルな場面もあり、なんだか楽しそう。祐さんの歌声は、相変わらず素敵ですね。

覚えているのはここまでかな・・・
年明けに大阪公演を観に行く予定なので、また感想を書きますね(^^)
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